夜風に吹かれ、笹の葉さらさらささやく。 短冊に書いた想いは、流れ星になって光り輝いた

これから海に行こうと彼からメールが届いた。
今年はじめての浴衣に着替えて、待ち合わせ場所に向かう。
髪型、おかしくないかな?着付けちゃんとできてるかな?
小走りの下駄の音と、心臓の鼓動が重なってる。
たどり着いた海辺のテラス。
彼の浴衣姿に胸が高鳴ったけど、気恥ずかしいからそっと目をそらす。
オレンジから紫に変化する空がとても綺麗で、彼と一緒に見られて嬉しい。
テラスには七夕の飾り付け。風に笹の葉が揺れてさらさら鳴っている。

「願いごと、書いていこう」

彼はスラスラと短冊に願いごとを書いていく。
【彼女とこれからも一緒にいたい】
私はなんて書こうかな?
ペンを持ったまま見あげた空には、いつの間にか星が出ていた。

「空に私が出てる」

彼と出会ってから、毎日が楽しくて心が明るい光で満たされてる。
時間はどんどん加速して、キラキラな軌跡を描くの。
それって星みたいじゃない?

「いや、お前は人間だから」

彼は目元をくしゃっとして笑う。私の好きな表情のひとつ。
この笑顔をずっと、ずーっと見ていたい。
あなたが笑顔でいてくれたら、私は幸せでいられる。
これを私の願いごとにしよう。